農業では自然に触れ、身体を動かし、心地よい疲れが感じられて楽しいですが、皆さんとの会話も楽しさのひとつだと感じています。
まず開口一番、皆さんに揃って聞かれます。
「なぜ農業のボランティアをしようと思ったの?」

実はというと、農業は二の次。ボランティアスタッフになれば無償で泊まれるという母屋での生活に惹かれて、申し込んだのです。
まず誠農社の敷地には、カフェ繭久里、いちじくの販売や宿泊所として利用できる母屋、宿泊できる離れ、いちじくのハウス、無農薬の畑、キャンプができる広場があります。
母屋は明治時代、離れは大正時代に造られたという古い建築物。そもそも誠農社の発端となったのが、広大な農地と大きな屋敷の所有に困った地主からの相談だったとのことでした。

外観は見るからに趣があり、歩くたびにキシキシと軋む室内の長い廊下もとても味があります。またボランテイア、研修合宿などで貸し出しできるように内装は随所をきれいにリフォームされています。
くつろげるスペースにはテレビやレンジ、冷蔵庫のほかWi-Fi環境もばっちり用意。そのため、ボランテイアに参加しつつ、空いた時間にパソコンでポチポチと仕事を進めることができました。

また、ゲストハウスとして貸し出している離れもとても素敵。こちらも随所はきれいにリフォームされていますが、今の建築では見ることはできない当時の大工による技術が施された部分はしっかりと残されています。
立派なけやきを使用した頑丈な梁、引き戸式の雪見障子などなど……その時代ならではの技工を目や肌で感じることができ、大変貴重な建築物です。

離れの天井

 

そして念願の古民家暮らしをしているわけですが、いかんせんボランティアは私ひとり。外は街頭もなく夜は真っ暗、かつ広い母屋にひとりとなると、少し怖いのです。スタッフの皆さんも、「夜ひとりで怖くないの?」と気になる様子。

ふと、外から泊まっている部屋を見ると、隣にさらに部屋があることが発覚しました。
「角部屋だと思っていたのに……部屋があるんですね」とスタッフの方に問うと、「あれは開かずの間なんだよ」とポツリ。
その瞬間、怖い想像が頭をよぎったのですが、詳しく伺うと“手作り味噌”を熟成しているとのこと。なるほど、確かに発酵させるためには“開かずの間”にせざるを得ません。それを聞きホッと安心しました。

昔ならではの趣を残しつつ住みやすい環境が整えられ、自然も溢れゆったりとした気分になれる素敵な家屋。ぜひボランティアの方や利用される方が増えてにぎやかになるといいですね。
今宵も虫たちの音色を聞き、隣の部屋の味噌と一緒に眠りにつきたいと思います。
T.H
 

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